羊
第1章 俺様・・・ハローワークにて
「一社です」
「一社?」
「はい」
「それは何でお調べになって?」
「ハローワークです。」
「良ければ、どちらで?」
「大輝セミナー言う、弁護士だとか会計士を目指す人が通う予備校みたいなとこですわ」
「存じています。
そちらは営業で?」
「はい。
最終面接までいったんですけど、煙草吸うから言うて落とされました。訳のわからん会社ですわ」
古田は俺の言うことを無視して続けた。
「今お受けになっている会社は?」
「ないです」
「そうですか」と言って、古田は腕を組み、手元の資料を見ながらうんうんと首を振った。
「山田さん、こんなことを言っては何なんですけど、お考えを変えていただかないと、少し厳しいかも知れませんね」
古田の言う意味が良く分からなかった。
「山田さん、転職を希望している二十代の男性が内定をもらうまでに受ける会社の平均数をご存じですか?」
「(そんなもん知るか)いえ」
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