羊

完結
発行者:シュール
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/09/05
最終更新日:---

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第1章 俺様・・・ハローワークにて
「俺もそう考えとったんや。
 せやけど、世間はどうもそうやないみたいやわ」
 俺は会社を辞めて初めて、弱音を吐いた。
「そら雇うほうから考えてみたら、同じ一から教えるんやったら、まだ頭の柔らかい、人件費の少しでも安い人間雇うわな。
 自分では、三十八言うたらまだまだ若い思てたけど、新たに就職しようと思ったら、もうリミットを超えてるかもしれんわ」
 この、母に言った言葉が、やがて、現実であることを思い知らされることになった。
 人材派遣業では日本のトップクラスを誇り、毎年行なわれるマラソン大会のメインスポンサーを務め、選手のゼッケンの上に社名を大きく刻むその一部上場の会社は、梅田のど真中の高層ビルの中にあった。
 エレベーターを降り、受付へ行くと、会社を辞めて半年足らずで7kgも太ってぴちぴちになったスーツの上着のボタンが、胸の高なりで弾け飛びそうなくらい綺麗な受付嬢が「お待ちしておりました」と言って、小さく区切られたブースに通してくれた。
 すぐに古田と言う、三十歳前後の男性がやってきて、丸いテーブルを挟んだ向かいに腰を下ろした。
 名刺には“キャリアアドバイザー”と書かれていた。
「山田さん、退職されたのが二月の末で、半年が経過しておりますが、どのような就職活動を行なってこられましたか?」
「ええ、実は、まあ、コネ言うたらおかしいんですけど、ある方に紹介をお願いをしておったんですけど、どうも当初思っていた通りに話が進まなくてですね、二カ月前くらいから自分でも動くようになったんです」
「これまで何社ほどお受けになりましたか?」
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