羊

完結
発行者:シュール
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/09/05
最終更新日:---

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第1章 俺様・・・ハローワークにて

 雨の音がセミの泣き声を掻き消し始めた頃妻が起きてきた。
「また寝られへんかったん?」
「おお。
 よう寝た思て起きたらまだ四時や。
 あとはいつもの通り、朝まで目えぱっちり寝むれぬ子羊や。」
 寝れなくなっていた。
 どんなに酒を飲んでも、寝入りはスムーズだが、四時間もすれば目が覚めてしまった。
 会社を辞めて疲れなくなったからかと、陽の高いうちに一時間程度汗をしたたらせながら散歩をしてもふくらはぎの裏の筋肉が張るだけで、何の効果もなかった。
「軽いうつ病違う?
 新聞に載ってたけど、定年退職した人がようなるみたいやで。
 高木さんはもうあてにせんと自分でちゃんと探したら?」
 妻の言う通り、相変わらず高木さんからは何の連絡もなかった。
「チビ起さんでええんか?」
「今日から夏休み」
 会社を辞めたときはまだ寒かった。
 時の流れは止まってくれない。
 嫌なことを洗い流しくれる良いところもあるが、彷徨う人間を置き去りにする残酷な一面も持ちあわせていた。
 妻が朝刊を取って戻ってきた。
 景気が良くなりつつあるという記事が一面に載っていた。
 辞めた会社の株価は順調に上がってきている。
 妻が苦いコーヒーを出してくれた。
「ハローワーク行くんやろ?」
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