羊

完結
発行者:シュール
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/09/05
最終更新日:---

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第1章 俺様・・・ハローワークにて
カウンターの男がぶっきらぼうに言った。
 パッケージの女の視線に耐え切れず、適当に五本のビデオパッケージを、スーパーマーケットのカゴを縦横半分くらいにしたカゴに入れてカウンターに持っていくと、茶髪の若い男性は、パッケージから中身だけを取りだしカゴに入れると「九八〇円前金でお願いします。六十分を過ぎますと三十分ごとに五〇〇円の延長料金がかかりますので」と言って、テレビのリモコンをカゴに入れ「二階の五号室になります」と付け加え、そのカゴを俺に差し出した。
 急な階段を昇って二階に上がると、ウナギの寝床のように狭い廊下の両側に扉がぎっしりと並んでいた。
 部屋に入り後ろ手でドアの部の鍵を掛けると、リクライニングチェアーに腰を下ろし、テレビとビデオデッキの電源を入れた。
 煙草に火をつけると、ビデオテープを早送りする音、ビデオデッキからビデオテープを取り出す音、そして時折、人の呻き声の様なものが聞こえた。
 ヘッドホンを耳に被せると、再生ボタンを押した。
 裸の女が次から次へと出てきて、男達と交わり、そして、汚されていった。
 四本目のビデオを見ているとき、我慢できなくなり、そっとティッシュペーパーを箱から抜き取ると、暖かい精液を湿らした。
 家意外で自慰をしたのは初めてだった。
 何かすごい恥ずかしいことをしたような気になって、テレビと間仕切りの隙間に置かれてあるウエットティッシュの筒から湿ったティッシュペーパーを引っ張り出すと、手を拭い、ビデオデッキからテープを取りだし、灰皿の縁に置いてあった吸いかけの煙草をもみ消すと、逃げるようにして部屋を出た。
 外は雨だった。
 自転車を止めてある駅前まで歩く間、通り過ぎる人の視線を感じた。
 濡れたサドルを手で拭きながら跨ぐと、腰が沈むのを感じた。
 降りて見てみると、後ろのタイヤが自分の顔のように崩れゆがんでいた。
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