羊

完結
発行者:シュール
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ジャンル:その他

公開開始日:2010/09/05
最終更新日:---

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第1章 俺様・・・ハローワークにて
グラスに入れたビールを半分ほど流し込むと少し気分が落ち着いた。
 周りを見渡すと、さすがにスーツ姿の人はおらず、みな“作業員”と言う感じの人達だった。
 冷奴とまぐろのお造りがやってきた。
 どちらとも何の表情もない白い器に入っている。
 冷奴はほかの居酒屋で食べてきたものよりは一回り小さく、マグロも四切しか入っていなかったが、味は決して負けていなかったし、どちらかと言うと一人で食べるのにはちょうど良い量だった。
 ビンビールが空になると、一合二五〇円の日本酒を冷やで注文した。
 三九〇+一五〇+三〇〇+二五〇=一‘〇九〇円。
 まだ冷や酒を二合飲んで一品頼んでも二千円にいかない。

 店を出ると外はまだ明るく、頬が少し火照っていた。
 こんな店に自分が入るとは思っていなかった。
 というか、馬鹿にしていた。
 こんなとこで飲むようになったら俺も終わりや、と。
 財布を覗くと札入れのところに千円札が一枚挟まっていた。
 これまでだったら、営業マンだからと言って急なつきあいに備えて持たせてもらっていたクレジットカードか会社のゴールドカードを持ってキャバクラへ直行と言うパターンだったが、今は立場が違った。
 駅前に止めてある自転車を取りに商店街を歩いていると『試写室 九八〇円』という看板が見えた。
 そっと扉を開けると、入店を知らせる電子チャイムが鳴った。
「いらっしゃいませ」
 声のほうを見ると、カウンターの中で茶髪の若い男性が退屈そうに立っていた。
 壁にぎっしりとアダルトのビデオテープが詰まっていた。
「五本まで持ち込めますので」
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