連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第1章 プロローグ
再び目が覚めると、窓の外は薄暗く、早朝なのか夕暮れ前なのか分からなくなっていた。
(一体今日は、何月何日なのだろう……)
ぼやけた頭をスッキリさせようと、パックスは目をこすろうとした。
その時彼は、右腕に軽い痛みを覚えた。
(あんまりきつく縛るから……僕が逃げ出せるわけもないのに)
暫くすると、また例の優しそうな男が入って来た。
「気分はどうかな? お腹は減ってないかい?」
不思議な事に、最初は意味が分からないほど下手くそだった英語が、何故かパックスの傷ついた心に、優しく響いて来た。
あれからどれ位の時間が経ったと言うのか。さっき食事をしたばかりだと思っていたのに。そんなに長く眠っていたのだろうかと、パックスは不思議に思った。
しかし、外はすでに明るくなり時間が確実に進んでいる事を示していた。
そして、その男が言うように、パックスはお腹がすいていた。
「A little ……」
パックスがそう答えると、その男はにっこり笑って部屋から出て行った。
その男の笑顔は、見知らぬ異国の地で悲しみに暮れるパックスに、優しい安堵感を与えてくれた。
暫くすると、トレイの上に食事を載せて男が戻ってきた。今度は魚と煮た野菜。そして、そこには初めて見る茶色のスープが載っていた。
「口に合うか分からないがどうぞ」
パックスが茶色のスープをじっと見ていると、男は微笑みながら、それが日本の家庭で毎日飲んでいる味噌汁と言う物だと教えてくれた。
「Miso sup……」
パックスは恐る恐る、その味噌汁に口を近づけた。
そして、ほんの少しだけ飲んで見た。初めて飲む味噌汁は、何故だか優しい味がした。
気がつくと、いつの間にか男は部屋から居なくなっていた。
何故か、少しばかりの寂しさを感じながら、用意された魚と野菜、そして味噌汁をたいらげた。
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