連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
連立の命(れんりのいのち) 第5章 [《第5章》 第4章が2回入力したので、この章は無料です。
 直人は、戸籍上の父親にすぎない。 

 雅治は自分は冷めているのかも知れないと思ったが、それほど父に固執してはいなかった。可愛がってもらった事も、ほとんど記憶にないのだから無理もないかもしれない。

 実際直人にとっても同じだった。赤ん坊の時に抱っこした事はあったが、雅治が物心ついてからは、自分の子どもとして慈しんできた覚えがなかった。時々自分は何と冷たい人間なのだろうと思う事があった。

 しかし、この手術を通して、直人の心に微妙な変化が起きていた。
 手術後、雅治が麻酔から覚醒しなければどうしようかという、なんとも言えない不安に駆られた。
 
 手術のたびに、患者が無事に覚醒するかどうかは心配になる。しかし、雅治の時は微妙に違っていた。直人はその時に、自分は雅治の父親である事を自覚したのかもしれない。
 
 ずいぶんと時が経ってしまっている為、雅治に自分が父親である事を、いつ伝えれば良いのか迷っていた。その上、何と説明したら良いのか分からなかった。というより、伝えたときの雅治の反応が怖かったのだ。

 美佳の時と同様に、自分の優柔不断さにうんざりしていた。
66
最初 前へ 63646566676869 次へ 最後
ページへ 
TOP