連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第5章 [《第5章》 第4章が2回入力したので、この章は無料です。
 雅治は考えていた。パックスという青年は、いったい何者なのだろうかと。
 いや、この時すでに雅治は、パックスが自分のドナーだと言う事を何となく感じていたのかもしれない。どういう経緯で自分のドナーになったのかは、まだ分からなかったが、半ば確信していた。

 その時、ドアがノックされた。

(誰だろう……)
 雅治はドキッとした。

「どうぞ」
「やあ、雅治君。調子はどうだい?」
 直人は努めて明るく声をかけた。
 しかし、どうしても志保のように上手く出来ない。

「結構いいです。この間は死ぬかと思ったけど、助かった。明日の採血の結果で、点滴が内服薬に変わるんでしょ。志保さんが言っていました」
 明るく答える雅治に、直人は少し安心した。

(雅治には、まだ何も変調はないようだ)
 直人は、やっと雅治の顔を、正面から見る事が出来た。

「その通りだよ。雅治君は頑張った。思ったより回復が早いから、びっくりしているんだ。君は精神力も強い」
「先生ありがとう。でもね、僕は毎日くじけそうになりながら生きているんだ。直人先生は、志保さんから僕の事何か聞いていませんか?」
「何の事?」
「僕の夢の事」  
 直人はギクッとした。何となく、これ以上聞くのが怖かった。

「君の夢……」
恐る恐る繰り返してみた。

「手術の時から夢を見るんです。それも毎日毎日続いて行く。まるで本を読んでいるように」
「もしよかったら、僕にも話してもらえないか」

 直人は怖かった。しかし、どうしても聞かなければならないと思った。こんな事をしてしまった自分の責任として。そして何より雅治の父親として、彼と今、向き合ってあげなければいけないと感じていた。
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