連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第5章 [《第5章》 第4章が2回入力したので、この章は無料です。
「君はおかしくなんかない。こんなに冷静でいられる僕の方がきっとおかしいのさ」
 
 直人は、努めて冷静に、美佳を諭すように話し始めた。
「医者は、ある程度冷酷に出来ているのかもしれない。立花のように腕の切れる医者は、自分の力を過信している。もしくは、自分の事を神のように思ってしまうのかもしれない」
 美佳は、こんなに動揺している自分に、冷静に対処してくれる直人がありがたかった。
「僕らは、雅治の苦しむ姿に動転し、立花を頼った。本当は頼ってはいけなかったんだ。だが、そうした。それは、紛れもない事実なんだ」

 少しだけ冷静さを取り戻した美佳は、一つだけ深呼吸して再び話し始めた。
「私たちは、犯してはいけない領域に足を踏み入れてしまったのね。取り返しのつかない事をしてしまった。悪魔に心を売ってしまったのよ……」
「雅治が落ち着いたら、きちんと話そう。そして、自首しよう。雅治が到底受け入られるとは思わないが、その時は三人で考えよう。ぼくの言っている意味がわかるかい?」

 美佳は驚いた。直人がそこまで覚悟を決めていたことに。
「直人さん、ありがとう。でも一つだけどうしても分からない事があるの。あの黒人の女の人には、子どもが二人いたの。もう一人は女の子」
 直人は、ユンカの事を、美佳には話していなかった。

(何故だ。何故そんなことを聞く……)

 直人も動揺していた。得体のしれない力が働いているように思えた。
しかし、今これ以上美佳に真実を打ち明ければ、事はさらに複雑になり、混乱した美佳の心を、さらにかき乱すことになるだろうと直人は判断した。

「そうか……今日は疲れているようだから、帰ってゆっくり休むといい」
 話を途中で打ち切った形になり、美佳にとっては不本意かもしれないと思ったが、今はその方が二人にとってはよかった。

「そうね。じゃあそうします」

 美佳は以外とあっさり部屋を出て行った。直人はほっとした。
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