連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第1章 プロローグ
矛盾した気持ちのまま、信じられない事にドナーが見つかった。
その上、移植には相当なお金が掛かるのに、何故か雅治はこうして生きている。
母子家庭の彼が、どうして莫大な費用のかかる心臓移植を受けられる事になったのか、限りなく0%に近い確率の手術だったはずなのに。
ただ、手術の費用に関しては、何と無く雅治には理解出来ていた。母には、彼の知らない母の人生があった。
思春期の雅治が受け入れるのは、そう簡単な事ではなかった。それでもあえて彼は、母のその部分に関しては聞かないように、触れないように、知らないふりをして過ごして来た。
それが、母に辛い思いばかりさせて来た雅治からの、せめてもの親孝行。そして、これからも彼はそうするつもりなのだが……

<第2章>
「やめろ。僕をどうするつもりだ」
パックスは叫んだ。
「僕は何も持ってやしない。捕まえたって何もない」
パックスは精一杯抵抗したが無理だった。猿轡をはめられ、両手両足を縛られて、荷物のように担がれた。
それは、あっと言う間の出来事だった。
何がどうなったのか分からないまま、パックスは船に乗せられた。と言うより、船に積み込まれたと言う方が、より真実に近いだろう。
硬いマットの上に、まるで小麦の袋を投げるように置かれると、目隠しと猿轡を外された。パックスは屈辱と悔しさと、不安でいっぱいだった。
(僕はどこに連れて行かれるのだろうか。今頃母さんは、どれほど僕の事を心配しているだろう)
1年前に姉がいなくなり、今度は自分の番なのかとパックスは思った。
南アフリカでは、最近子供が知らない間に居なくなると言う事件が多くなっている。
(僕はもう、二度と母さんの所へは戻れないのだろう)
不安と絶望が、パックスの心を飲み込んで行った。
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