連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第5章 [《第5章》 第4章が2回入力したので、この章は無料です。
「美佳……」

 美佳は、直人の声で目が覚めた。

(また夢を見ていた。それもこの間の続きだ。なんて悲しい夢……)
 
 この時の夢で、美佳は確信した。自分の夢に出てくる黒人女性が、雅治のドナーの母親だと。初めは何だろうと思った。何処かで見た映画か何かだと思っていた。しかし、そうではなさそうだった。

(マイラというその女性は、きっと悲しくてどうしようもないのだろう)
 美佳はそう思った。
 
 雅治は美佳の傍にいて、生きている。しかし、マイラにはもう誰もいない。パックスは死んでしまったのだから。
 いや、そうではない。ここにいる。彼女の息子のパックスは、雅治の中にいるのだから。
 きっと神様は怒っているのだと美佳は思った。

「美佳、いったいどうしたんだ。真っ青な顔をしている。怖い夢でもみたの?」
「直人さん。私はどうしたらいいのかしら。毎日毎日夢を見るの。黒人の女の人の夢。その人、雅治のドナーのお母さんみたいなの……」
 直人には美佳が何を言っているのか全く分からなかった。

「美佳、すまないが、僕にも分かるように説明してくれないか」
「あなたは夢を見ないの? 雅治の手術をした後、何か変わった夢を見ない?」
「いや見ないよ……とにかく、落ち着いて話を聞こうじゃないか。いったい何があったの」
  直人からそう言われて、いつもの美佳なら落ち着くはずなのに、なぜかいらだちを感じた。

「直人さんは呑気でいいわね。やっぱり男の人は鈍感なのかしら。こんな事をして置いて、平気な顔をよくしていられるわね」
 直人はびっくりした。美佳がこんな言い方をするのは初めてだった。それほど美佳は追い詰められているということか。何と声をかけたらいいのか、直人には分からなかった。

「とにかく、話してみないか。そこから始めよう。僕も悪かった。ゆっくり君と話も出来ずにいた。君の気持ちも考えずに悪かった」
 
 美佳は直人に謝られて、冷たく凍えた心が、少し溶けたように思えた。
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