連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第1章 プロローグ
雅治は2歳の頃から激しい運度をすると、胸が苦しくて息ができなくなり、座り込んでしまう様になって行った。
心配した彼の母は、近くの循環器センターへ連れて行った。色々な苦しい検査に耐えたのに、診断は絶望的なものだった。
拡張型心筋症……。
これは心臓の筋肉が萎縮して壊死を起こし、心筋細胞か減少する。
その結果、心臓の弾力性と収縮力が失われる。そして血液が心室内に貯留し、心拡大を起こした結果、心不全に陥る。不整脈や塞栓症を合併し、最終的には心臓移植以外に根治はしないと言うものだ。
彼の病状は年々悪化し、とうとう移植しか方法がなくなってしまった。
悲しい事に、日本ではドナー数が極端に少ないため、病気の進行が早いと間に合わず、国外で移植せざるを得ない。
腎臓は死体からでも移植出来るが、心臓は脳死患者からの移植しかない。
2009年に移植法が改正され、脳死が人の死だと法律上認められた。また、15歳以下の子供の場合も、親の同意があれば本人の意思確認が出来なくとも、ドナーになる事ができるようになった。
法律が可決された時、脳死が人の死であると法律上で決められてしまったために、幾つかの事項が懸念された。
脳死の子供を育てている親は、世間の冷たい目にさらされる事ちなるのではないか。死体に扶助をする事がどうなのか。脳死者としてドナーになるべきではないのか……などである。
しかし、何故だか日本においてドナーが増える事はなかった。
日本の死生観からすると、脳死を人の死として受け入れる事に、抵抗があるのかもしれない。
雅治は17歳だから大人の心臓が貰えるが、それでもなかなかドナーは見つからなかった。
その間雅治は、自分の気持ちを平静に保つ事に必死だった。
ドナーを待つ事は、同時に人の死を待つことになるのだ。雅治の気持ちは矛盾に満ちていた。
しかし、それでも生きていたいし、普通の生活がしてみたい。そんな生への欲求が、人の死を待つと言う悲しい気持ちに打ち勝ってしまうのか。
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