連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第1章 プロローグ
彼の17年間は、来る日も来る日も苦しみの連続だった。
小さい頃、外で走り回る近所の子どもが羨ましかった。
ある日、窓からそっと外を覗いていると、サッカーボールを持った男の子が手招きをして雅治を呼んでいた。
外に出ようとしたけれど、少し歩いただけで座り込んでしまう。肺がゼイゼイ鳴り、心臓がドンドン太鼓を鳴らす。
そして胸が圧迫されるように苦しくて、声を出して泣く事すら出来ず、悔しさと悲しみで、ただ涙を流すだけだった。
そこへいつも狂ったように母が飛び込んできて、彼をベッドに引き戻す。
「どうして起き上がるの。死んじゃうのよ。雅治、お願いだから母さんの言う事を聞いてちょうだい」
5歳の雅治にとって、おそらく「死」と言うものは、常に「生」と隣り合わせのものだったのかもしれない。
(他の子と遊びたい)
そう思ってそこへ行こうとして「生」に向き合うと、必ず「死」が雅治を待っていた。その苦しみを覚悟しなければ、雅治は「生」と向き合う事が出来なかったのだ。
(どうして自分だけ外で走り回れないのだろう。僕なんかいない方が母さんはいいに決まっている)
それでも5歳の雅治は、母の悲しむ顔を見るのが辛くて、じっと我慢をしていた。
しかし、好奇心の塊であるのも5歳児なのか、たった一度だけ自力で外に出ようとしたことがあった。
母が買い物に行って居る間に、門の外の公園へ行こうとしたのだ。戸棚に捕まり、壁に手をかけ、少しずつ少しずつ憧れのブランコへ向かった。
しかし、相変わらず心臓はドンドン太鼓を鳴らし、空気を沢山吸おうとするのに、まるで死にかけた金魚のように息が上がる。
そして、雅治の死をかけた頑張りも虚しく、だんだん足は鉛をつけたように重くなり、その鉛が一つずつ増えていくかの様に辛くなった。
それでも雅治は頑張った。
そしてとうとう、自分の部屋のドアに手を掛け、開ける事が出来たのだが……
雅治の死をかけた挑戦も虚しく、遂にそこで何も分からなくなった。
気がつくと、雅治の横で母が狂った様に大声で叫んでいた。
「雅治お願い。母さんを一人にしないで……」
その時始めて、母の傍には自分が居なければいけない事を雅治は悟った。
そして彼は、母のために生きなければいけないと心に決めた。
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