連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第1章 プロローグ
<第一章>
何故かその男は、自分が座っていた椅子を持って雅治の頭の上の方へ移動した。
「今から君に麻酔をかけていきます。何も分からなくなるけど、私がずっと傍に居るから安心しなさい」
その男は一瞬息を止めたように感じられた。そして、まるで何かを決心したように雅治の鼻と口に透明のマスクを被せた。
自分自身に最後の覚悟を促すために、雅治は大きく深呼吸した。
そして、全てのものに別れを告げ、ゆっくりと目を閉じた。
そんな事を考えて居るうちに、眠りの渦が雅治をとらえてくれた。
穏やかな眠りを約束されたその瞬間、何処からかその声は聞こえてきた。
" I want to live more……"
その声は、雅治と同じくらいの澄み切った青年の……そして何も分からなくなった。

(どうやら……僕は生きているようだ)
ガチャッ!スー ……ガチャッ!と規則的に繰り返される不安を掻き立てるあの音。
意識がなくなる前まで、確かに聞いていたあの冷たい器械音がしていた。
もしかして、目を開けるとそこには、雅治の知らない人たちが居るのではないか……。
そんな訳の分からない思いが、彼の心の中に広がっていた。
(どうしてこんなに不安なのだろう。最後に聞いたあの青年の声は一体何だろう。確かにあれは日本語ではなかった)
雅治の息は苦しく、自分は呼吸をしていないのに、無理やり空気が肺の中に送り込まれて来る。
それなのに、自分で息を吸い込もうとすると、余計に苦しさが増すのだ。
手も足も自由がきかない。
ただ、目を閉じていても周りがとても明るいと言う事だけは感じられる。
徐々にはっきりして来る意識の中で、雅治は一人不安と戦っていた。
せめて楽しかった事を思い出そうとしたが、それは無理な話だった。楽しかった思い出など雅治にはなかった。


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