連立の命(れんりのいのち)
第13章 《第13章》 最終章
皆一様に頷きながら聞いていた。新庄はその様子を確認して話を続けた。
「私は、全国の、身体に障がいを持つ人の中から、この四職種を募集しました。そして、全国を回り、一人ひとりに面接をしました。もちろん、ペーパー試験も課しましたが。面接を繰り返すうちに、私は彼らに心から尊敬の念を抱くようになりました。彼らの努力は、並大抵のものではありませんでした。そして、彼らには信念がありました。何より素晴らしいと思ったのは、彼らは、人は一人では生きていけないという事を、心から理解していたという事でした」
「助け合いという事ですか」
「一言で言うと、そのような事になるのかもしれませんが、雅治がさっき言っていた、移植はその人の人生を、丸ごと受け継ぐと言う事の意味だと私は思っています。その事を、クライエントやその家族に心から理解してもらわなければ、深い悲しみを抱いているドナーの家族に、同意をいただく事は不可能だということです。彼らには、それが出来ると確信して行きました」
さっきから、一番前列でじっと聞いていた、雅治に残酷な質問をした記者が、再度質問した。
一瞬、その場が緊張した。
「新庄。この国家チームを立ち上げるまでに、何年かかりましたか」
「私が移植に関わって、8年……です……」
そこまで言って、新庄は言葉が出なくなった。
「新庄、お疲れ様。あなたは頑張った。本当に頑張った。日本は取り返しのつかない事件を起こしてしまった。それは、あなたの責任でも、雅治や倖、その家族の責任でもない。これは、世界中の人々の無関心の責任だ」
その時、報道陣に変化が起こった。今までじっと聞いていた人たちが、静かに手を上げ始めた。
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