連立の命(れんりのいのち)
第13章 《第13章》 最終章
新庄は続けた。
「そして、此処に居る倖は、心理カウンセラーとして、私が立ち上げた移植倫理国家検討チームで今後働く事になります」
新庄は、倖に目で確認した。倖は、コクンと頷いた。
「私は移植倫理国家検討チームを立ち上げました。このチームは、三人の医師と弁護士、移植コーディネ―ター、心理カウンセラーの四職種六人で結成されたチームです。今回の事件で、医師から恣意を加えられた心・肝・腎に関する移植にのみ、このチームを派遣することにしまた」
この時報道陣から質問があった。
「このチームに関しては、世界中のメディアがこぞって調べました。恣意を挟めないようにという事ですが、チームのメンバーは、どの様に選定されたのですか」
新庄は、どの様にすれば、いろいろな人を傷つけずに話せるのか悩んでいた。
「世界中のだれもが知るナイチンゲール。私は、彼女の意思を尊重しようと考えました」
その報道者は、突然出た名前に、怪訝そうな表情で言った。
「ナイチンゲール……ですか……?」
カメラの向こうの報道陣は、皆同じようにざわめいた。
「昔、私がまだ小さかった頃、母から聞いた話なのですが、ナイチンゲールは最後まで、看護師を国家試験というペーパー試験で選ぶ事に反対していました。それは、医療に関わる人には、適正があるからです。いくら頭が良くても、今回の事件のように、医療には必ず倫理観が必要になってきます。適性は、その人本人を見なければいけないという事です。ペーパー試験では決して測れないということです」
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