連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第13章 《第13章》 最終章
 質問した報道関係者は、それ以上何も言わなかった。

「私はその時思いました。18歳のこの青年に比べ、自分は何と小さな存在なのだろうと。辞めれば、責任を取った事にはならない。私に課せられた仕事を、どんなに辛くとも、最後までやり遂げる事が、自分の本当の役割なのだと。彼女への償いなのだと、そう考えました」
 新庄は、そこには居ない志保と悠一を思い描きながら、一生懸命話した。

「その後、あの事件が明るみに出ました。此処に居る二人も傷つき、ショックを受けましした。しかし、この二人はテレビに出て、移植の本当の意味についてどうしても話したいと言って来たのです。でも、あの時テレビに出したなら、彼らは立ち直れないほどバッシングを受けたでしょう。あれからずっと、いつの日か、二人にきちんと話をさせてあげたい。そう思って来ました。今日がその時だと思っています」
 新庄の話を聞いていた雅治と倖は、顔を見合わせた。そして、マイラの手をそっと彼女の膝の上に戻した。マイラは、二人の頭を優しく撫で、行ってらっしゃいと言うように背中を押した。
 雅治から話し始めた。

「僕の父と母は、許されない事をしました。世界中を不安にさせ、本当に申し訳ありませんでした」
 雅治は、まず心から謝った。そして、深い深呼吸をし、大きく頷いて話し始めた。

「僕は、小さい時から心臓が悪く、心臓移植をしなければ20歳まで生きられないと言われていました。いつもベッドから降りて、自由に動き回りたいと思いながら、それは叶わぬ夢でした」
 雅治は、小さいころの苦しかった気持ちを思い出しながら話した。

「僕は、ずっとドナーが現れる事を待っていました。大きくなるにつれ、ドナーを待つ事は、誰かの死を待つことだと分かるようになりました。しかし、それでも生きたい。自分の生きている意味を見つけたい。自分との葛藤でした。苦しむ僕を、母はずっと見て来ました」
 
 そこまで言って、母の事を思い出し、雅治は次の言葉が出なくなった。
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