連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第13章 《第13章》 最終章
『 移植とは、一体何であろうか 』
 
 新庄は、立花の許されざる犯罪を暴く事に必死になっていた。それは間違いのない事だった。しかし、その残酷な移植の裏で起こっていたこの現実に直面した新庄は、言い知れぬ移植への期待もまた同時に感じていた。
 それは、この現実に即したならば考えることさえも許されないのかもしれない。
 しかし、あえて自分の気持ちに正直になるならば、やはり移植に寄せられる期待もまた感じてしまう自分がいたのだ。

 マイラは、どの様に何を伝えればよいのか、段々分らなくなってきた。
 しかし、雅治と倖が、出来るだけ好奇の目に触れないように頑張らなければいけないと思った。
 その時ムンカが、たまらなくなったように立ち上がってマイラに近づき言った。

「マイラ、ごめんね……ごめんね。信じてあげられなかった。私を許してほしい……」
 マイラは、微笑んで、ムンカの手をとった。
 ここで、マリー医師が話し始めた。

「私は、プラント精神病院の医師、マリーです。少しここで話させて下さい。マイラは、ムンカに付き添われ、強制入院してきました。かなり興奮して『倖と雅治が私に会いに日本からやってくる。私は、こんな所に入院していられない』と叫んでいました。最初、幻覚を見ているのかと思いました。でも、それは統合失調症とは別物だと、すぐに感じました。日本に対する知識のないマイラに、分かるはずのない事も彼女は話すのです。私は、これは病気ではないと思い始めました」
 マイラは、言った。
「マリー先生は、私の言う事を心から信じて下さいました。私の話を真剣に聞いて下さったのです。私が落ち着いて雅治と倖に会えたのは、マリー先生のもとで療養できたからだと思います」
 それを聞いて、立ち尽くしていたムンカは、ようやく安堵したように、椅子に座った。

「ムンカが、雅治と倖を連れて病院に来てくれた時、私は生きていて本当によかったと思いました」
 そう言って、マイラは倖と雅治をまた抱きしめた。

 そして、マイラは次の言葉が出ないほど、激しく泣きだした。
 それは始めてみる、マイラの号泣だった。きっと、いろいろな感情が、一気に噴出したのだろう。その場にいた誰もがそう思った。
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