連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第13章 《第13章》 最終章
 マイラは雅治と倖の様子を確認し、大丈夫だと確信したうえで再度話を始めた。

「パックスは『雅治は、まるで僕と対話するかのように、毎晩毎晩あやまって、そして僕に感謝して眠りに就くのだ』と伝えてきました。パックスは雅治の事が大好きのようでした。そのうち、私も雅治に会いたいと思うようになりました」
 新庄は話を聞きながら、いつの間にか涙が止まらなくなっていた。

 新庄は、志保と悠一の事を考えていた。
『姉さんの心まで移植できればいいのに……』
 そう言っていた悠一の言葉を思い出したのだ。自分が死に直面しているのに、大切な弟の事を一番に考えていた志保。新庄はたまらなくなってきた。
 一瞬、マイラの話を聞き逃しそうになった新庄は、再び姿勢を正し、マイラの方へ向き直った。

「その頃からだったと思います。私は死にたくないと思い始めました。生きて雅治と倖に会いたいと思うようになって行ったのです」
 会場のカメラに映し出された報道陣は、いつの間にかマイラの話に引き込まれて行った。
 そして、新庄はと言えば、パックスの強い信念を感じていた。
 悔しさと悲しみに包まれながらも、母を思う心を最後まで失わなかったパックス。大切な母に自分たちがいなくなっても、しっかり生きて欲しいと願っていたのだろう。
 自分たちの代わりに、雅治と倖が母に会いに行ってくれるように、母を安心させてくれるように計らい、そして母に生きる力を与えたのだ。

 そこまで話すと、マイラは泣き出した。そして、雅治と倖を手招きで呼んだ。
 彼らは静かにマイラの元へ近づいた。マイラは二人を両手で抱き締め、そしてこう言った。

「この子たちは、間違いなく私の可愛い子どもたちです。名前も顔も変わってしまいましたが、間違いなく私の息子と娘です……」

 新庄も、報道陣も感動していた。国境を超え、人種の壁を超え、残酷な現実に直面しながらも、この親子を支えている絆は紛れもない『心臓移植という事実』なのだと。
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