連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第13章 《第13章》 最終章
 新庄は不安を隠して質問した。

「マイラ、昨日空港で初めてお会いした時言っていた『ずっと二人に会いたかった』というのは、一体どういう事なのですか?」
 マイラは突然の質問に、びっくりしたように大きく瞬きした。しかし、次の瞬間優しく微笑んで話し始めた。

「新庄は、どこまで雅治と倖の話を知っているのかしら?」
 そう聞かれて、新庄は一瞬戸惑い、子どものように緊張した。
「ほとんど聞いてはいるのですが……」
 新庄は自分の質問が性急過ぎたと思い、思わず姿勢を正した。
 そんな新庄を見て、マイラは思わず笑ってしまった。

「新庄、ごめんなさい。笑ってしまって。あなたがあまりにも緊張しているものだから」
 報道陣からも笑い声が聞こえ、その場の雰囲気がふと和らいだ。
 笑い声が落ち着くと、マイラは、ゆっくりと諭すように話を続けた。

「新庄は、雅治と倖の夢の話を聞いていますか?」
「それは聞いています。パックスが夢で雅治を勇気づけ続けた事や、事件の真相を少しずつ教えた事……」
 マイラはゆっくり頷きながら聞いていた。そして、その時の事を思い出したのか、急に真剣な眼差しになった。

「私は、息子と娘がいなくなった後、生きる気力を失っていました。近所の、そう、此処に居るムンカや友達の励ましも聞き入れる事が出来ず、どんどん孤立して行きました。友達も離れて行き、私の生活は乱れました。死ぬことも考えました。でも、私が死んでしまえば、ユンカとパックスが帰ってくる場所がなくなる。そう思うと、死ぬ事も出来ませんでした。ただ、毎日生きるためだけに、仕事をしました。もう限界だと思った時、それは始まりました」
 マイラは、雅治と倖を確認し、これでよいのかと目で合図してくる。二人はマイラの意思を確認すように、頷き返した。

「私は夢を見るようになりました。パックスとユンカが夢に出てきて、死にたいと思っている私に、いろいろな事を教えてくれました。自分は船に乗せられて日本に連れて行かれた事。殺されて心臓移植のドナーにさせられた事……」

 その時マイラははっとした。雅治と倖の存在を一瞬忘れていた。やはり、パックスとユンカの話になると我を忘れてしまう。
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