連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
連立の命(れんりのいのち) 第13章 《第13章》 最終章
 次の日、雅治は新庄議員に電話をかけた。
 新庄議員はちょうど国会が終了し、忙しい時期ではあったが、二人のために割く時間は十分に持てた。彼は南アフリカの駐在大使に連絡し、五日後に会見を開く計画を立ててくれた。

 新庄は内心驚いていた。こんなに早く状況が急展開した事が不思議であった。雅治や倖の言う事を疑っていたわけではなかったが、こんなに早く母親が見つかるとは、正直なところ思っていなかったのだ。

(やはり、あの夢の話は真実だったのだ。子を思う親の気持ちや、親を気遣う子の気持ちは、本当に尊いものなのだ) 
 新庄は、そう改めて感心した。

 五日後、新庄が南アフリカに到着した。
 
 外交官に連れられた雅治と倖は、ニコニコ笑っていた。心の底からの二人の笑顔を、新庄は本物だと感じた。そして二人の横で優しそうにこちらを見ている黒人の女性が、おそらくパックスとユンカの母親であろう。

「はじめまして」
 新庄はまず、外交官に挨拶をし、そしてマイラに手を差し伸べた。マイラは新庄の手をしっかり握ってこう言った。

「ありがとう新庄。私はずっと二人に会いたかった」
 新庄はびっくりした。まだ詳しい事は何も二人から聞いていなかったのだ。

(ずっと二人に会いたかったとは、一体どういう事なのだろうか……)

 しかし、今その事を聞くわけにもいかず、とにかく明日の会見に、新庄は賭けてみようと思った。南アフリカでマイラと同じような悲しみに打ちひしがれている人たちがいたなら、この三人が少しでもその悲しみを溶かす役割を果たしてくれるのではないかと思っていた。

 この事件により、明るみに出た悲惨な事実が、今全世界を揺るがしている。そして、日本ではこの事件により、実際にアメリカで移植が出来なくなってしまった。
 それは、移植に最後の望みを掛けていた人々の希望を奪ってしまう事に繋がってしまったのだ。

「マイラ、辛いでしょうが、明日はよろしくお願いします。あなたのお話が、きっと希望を失ってしまっている人々の心に、光を投げかけてくれる事でしょう」
 マイラは、きっぱりと、そして力強くこう答えた。

「わかりました。きっとこれが、私がこの世に生まれてきた事の意味なのでしょう」と。

162
最初 前へ 159160161162163164165 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ