連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第12章 《第12章》
 マリー医師は、自分が早計だったことを反省した。

「そうよね。先走ってしまってごめんなさい。これは国と国の問題に発展しかねない重大事件だから、もっと慎重に動かなければいけなかったかもしれない。雅治、その議員んに話して下さい。その結果どうすることが一番良い方法なのか、政府の人々に考えてもらった方がいいかもしれない」
 その日、マリー医師はマイラを二人に返し、安心したように病院に帰って行った。

 ムンカは、マイラと雅治、倖のために、手料理をごちそうしてくれた。マイラの退院祝いと、三人の再会を祝って、ささやかなホームパーティーが開かれた。

 椅子に座って楽しそうに笑う雅治と倖が、マイラとムンカには、まるでパックスとユンカのように感じられた。
 しかし、この日、マイラとムンカは、あえて移植の事は話さないように努めていた。その事を話せば、四人の間に埋められない溝が出来てしまうように思えたからであった。

 四人は、本当に以前からの知り合いと、親子のように楽しみながら短い再会の時を過ごした。そしてその夜、三人はマイラを間に、まるで本当の親子のように川の字になって眠った。雅治も倖も不思議な安堵感に包まれていた。
 この8年間、三人には本当の安らぎはなかったのかもしれない。

 雅治は、いつも静かな夜になると、自分の胸の鼓動を意識して、なかなか眠ることが出来なかった。毎晩パックスに感謝して眠っていたのだが、それでもその鼓動を感じる夜は、どうしても不安で、自責の念に押しつぶされそうになっていたのだ。

 しかし今日は違った。本当に八年ぶりに心臓の鼓動を意識しないでゆっくり眠れそうだった。それは、マイラにパックスとユンカを会わせてあげられたという満足感からなのであろうか。

 そしてそれは、大好きな母の隣で眠れた事と、母をやっと安心させて上げられたという、パックスとユンカの安堵感でもあったに違いない。
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