連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第12章 《第12章》
 二人はムンカと一緒に、マイラが退院してくるまでの間、パックスが通っていた学校や、ユンカが勤めていたサファリパークを訪ねた。初めて行く場所なのに、何処も一様に懐かしささえ感じられた。

 それから三日後、マイラがマリー医師に連れられて退院してきた。マリー医師は、二人に頼みがあると言って、先生本人がマイラを連れてやってきたのだった。

「雅治、倖元気でしたか? あなた方のお母さんを連れて帰りましたよ」
 マリー医師に連れられて、マイラは嬉しそうに帰ってきた。そしてマイラは、初めて出会った時のように、二人を大切そうに抱きしめた。
「雅治、倖、待っていてくれてありがとう。あとどのくらいここに居る事が出来るの?」
 雅治と倖は、後一週間は滞在できる事を伝えた。

 その事を聞いたマリー医師は、マイラと顔を見合わせてから大きく頷きこう言った。
「雅治、倖、よく聞いてほしいの。私、信頼できる方を通して、テレビ放送で移植に関する特集を組んでもらおうと思うの」
 雅治と倖は、顔を見合わせた。

 マリー医師は、知人を通じて、テレビ番組を特集してもらえるように掛け合っていた。 当時南アフリカでは、子どもたちが行方不明になる事件が相次いでいたのだ。

 二人が事件について話すことで、さらに波紋が広がる事も懸念された。
 しかし、子どもたちを失くした家族は、自分の子どもがどうなったのか分からないまま長い年月を過ごしている。もしかしたら、雅治や倖と同じような体験をしている人がいるかもしれない。

 マイラのように、こんなチャンスに恵まれず、悲しんでいる人がいるとしたなら、それはあまりにも残酷な話ではないかだろうか。その人たちの悲しみが癒えるとは思えないが、マイラのように生きる力を取り戻す事が出来るかもしれない。

 マリー医師はそう二人に訴えた。
 雅治と倖は、その時が来たのだと思った。
 しかし、こんな重大な事を、雅治と倖で勝手に決められる訳もなく、二人は新庄議員に相談したいと申し出た。
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