連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第12章 《第12章》
 あれからずっと二人は考えていた。いつか、何らかの形で雅治も倖もこのことを世界に向けて伝えたかった。移植は命のリレーなどという綺麗事ではない。
 一つの悲しみの上に成り立つものである事を。そして、移植を受けるという事は、ドナーその人の人生を、全て引き受け、一緒に生きるということであると伝えたかった。

「マリー先生は、このケースを学会で発表しなくて本当によいのですか? 僕たちがまとめてもいいのですか」
 雅治は、申し訳なさそうにそう言った。
「全然……と言えばうそになるかなあ」
 ちょっと口をとがらせて、すねた様子のマリー医師は、さらに、きっぱりとこう言った。

「でもね、学会で発表するには、ちょっとスケールが大きすぎるのよ。国の尊厳もかかっているしね」
 雅治と倖は顔を見合わせて頷いた。
「分りました。どれだけうまくまとめられるか分りませんが、頑張って書いてみます。きっとそれが、パックスとユンカへの追悼になると思います」

 マリー医師とマイラとムンカは、一様に首をかしげた。追悼という言葉が理解できないようであった。
 しかし、それはあまりたいしたことではなかった。パックスとユンカの為に本を書くのだという事は伝わったようだった。

 結局、マイラはもう少しこの病院で治療し、雅治と倖は、ムンカの所にお世話になる事になった。
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