連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第12章 《第12章》
 走った事のない雅治に、パックスが夢で走るという事を教えてくれ、希望を持たせてくれた事。それはリアルで、実際に走った後のそう快感や疲労感まで感じられるものであった事を。
 倖は、うつ状態になっていたときに、ユンカが動物たちの感動の記録を、夢で見せてくれた事。

 話しは次から次へと出て来た。マリー医師とマイラ、ムンカは、その一つ一つを真剣名眼差しで丁寧に聴いていた。雅治と倖は、溢れる想いをここぞとばかりに話した。

 気がつくと、何と三時間が経っていた。
 しかし、マリー医師は、単に話を感動して聞いていただけではなかった。きちんとマイラの話と照合しながら聞いていたのだ。そして、自分の中で結論を出していた。

「雅治、倖、話してくれてありがとう。マイラから聞いた話と、二人から聞いた話は、きちんと合っていました。何という事でしょう。心臓は記憶するのでしょうか。私は、そうではなく、人間のお互いを思う気持ちが、相手に伝わるのだと確信しています。人間の可能性は未知数です。相手を思う気持ち、相手に伝えたいという気持ちは、何らかの受容器を経て、相手に伝わるのではないかと思うのです」

 マリー医師の話は、少し難しい話ではあったが、とにかく真実であることに間違いはない。何らかの方法で、三人は共通の夢を見ていた。そして、三人ともその夢に励まされてこの8年間を生きて来たのだ。

 この時、マリー医師はある事を考えていた。学会で発表したかったが、そんな小さな事ではいけないような気がしていた。この事実は、世界に向けて発信されなければいけないのではないか。その方法はまだ考え付かないが、事は良い方に流れて行くように思われた。
 何故だかわからないが、そんな気がしていた。そして、こんなことを提案してみた。 

「雅治、倖、この話を本にしませんか? 本を書いた事はありますか?」
 雅治と倖は驚いた。そんな事を今まで考えた事がなかった。ただ、自分たちの事件で、世界中に衝撃が走り、移植に大きなダメージを与えてしまったことは事実だ。
 結果、いままでアメリカでお金を支払えば移植出来ていたのに、日本人はアメリカでの移植が出来なくなってしまった。移植に夢をつないでいた人達の夢を、自分たちが奪ってしまったのだ。
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