連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第12章 《第12章》
 その時初めて車いすを押していた看護師が四人を見渡し、そろそろ口をはさんで良いとというように、頸をかしげて唇を尖らせこう言った。

「話は私もお聞きしましたよ。こんなことが本当にあるなんて、まだ信じられない。でも、マイラの必死に訴えていた事が真実だったという事を、私自身が証明できます。任せてください」

 その言葉を聞いて、四人は同時に顔を見合わせて微笑んだ。強い味方が出来た……

 看護師は、建物の低い場所にある大きなテラスの付いた窓を指さし、そこがマリー医師の部屋である事を教えてくれた。

 マリー医師の部屋は、玄関を入り、ジャングルのような受付から廊下を真っ直ぐ進んで、階段を上がった中二階にあった。階段の横にはスロープも造られており、車椅子の患者も上がって行くことができた。そのテラスは外から見ると、ちょっと低い変な場所にあるように感じたが、テラスからは病院の庭が見渡せるようになっているのだと看護師は説明してくれた。 

 看護師も含めて五人は、マリー先生の部屋のドアをノックした。
「どうぞ……」
 五人はドアを開け、一様に穏やかな顔で中に居るマリー先生を覘いた。

「いつ来るかと思いながらお待ちしていましたよ。雅治と倖……」
 雅治と倖は、キョトンとしていた。
「さあ、どうぞ中へ。椅子に腰かけて、ゆっくりとお話を聞かせてください」

 マリー医師は、肌の色の浅黒い、目鼻立ちのキリッとした人であった。一見してマリー医師は、黒人と白人の混血であると見て取れた。そのためか、表情や雰囲気は穏やかで、話し方一つにしても、優しさにあふれていた。

 五人は、不思議な安堵感に包まれながら部屋の中へ入った。
 部屋の中には、大きなテラスに続く窓から燦々と太陽の光が呼び込まれていた。そこからは噴水も、その先の小道やベンチでくつろぐ患者の顔も、ちゃんと観察できるようになっていた。

 それはマリー医師の患者一人ひとりの真実の姿を捉えようとする姿勢をうかがわせるものであった。
 その部屋のあちこちには、観葉植物の鉢植えが置かれていた。
 まるで受付と同じようにジャングルの中に居るようだった。そのため、部屋の空気は澄んでおり、患者が部屋を訪ねた時、思わず深呼吸したくなりそうだった。この部屋の空気を吸い込むためだけにでも、訪ねて来る価値がありそうな部屋であった。
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