連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第12章 《第12章》
 玄関から中に入ると、ベージュ色の壁には、やはり緑の木々が描かれ、その枝の何処そこに、黄色や赤い小鳥がとまっていた。そして、小さな小鳥の鳴き声まで流れていた。なんというのか、森の中に居るような妙に落ち着いた気持ちになれる病院だった。

 受け付けの窓口には、蔦が絡まっていた。ジャングルの中に受付があるのかと思うような雰囲気だ。

「マイラ・カイラントの病室は何処ですか?」
 ムンカが聞いてくれた。
「マイラ・カイラントは、今看護師と一緒に散歩に出ています。外で会いませんでしたか?」
 三人は顔を見合わせ、次の瞬間玄関から外に飛んで出た。

 急いで外に出たため、太陽の光がまぶしくて、三人は一様に目がくらんだ。手を翳して薄目を開け、やっと外を見た。

 さっき玄関に入る前にあったベージュ色の噴水の前に、車椅子に乗った一人の女性がいた。雅治は一目見て、その女性がマイラだと分かった。飛んでいきたい衝動に駆られたと同時にムンカが叫んだ。

「マイラ……」

 ムンカがそう言うと、マイラは首をかしげて三人をじっと見た。
 そして次の瞬間、マイラは両手で口を覆い……
 何という事だろう、両腕を左右に大きく広げてげてこう言った。

「おお……パックス、ユンカ!」

 雅治と倖は、それがこっちへおいでと言う事だと感じとり、躊躇わずにマイラの腕の中に飛び込んだ。まるで再会を喜ぶ親子のように抱き合い、そして三人は大声をあげて泣いた。

 雅治と倖は何度も何度もこう言った。
「ごめんなさい。僕たちを許して。ごめんなさい」

 そう言いながら泣きじゃくる二人を、マイラはいとおしむように優しく抱きしめた。まるで傷ついた母ライオンが、子ライオンを優しく受け入れたように。

「マイラ、あんたの言う事を信じてあげられずに許しておくれ。支えてやれなくて、本当に悪かったね。二人がマイラを訪ねて来た時に、やっとあんたの言っていた事が真実だったのだと分ったよ」

 マイラは何も言わずに、二人を抱き締め続けた。まるで、手を離したら二人が居なくなってしまうかのように、大切に、大切に抱きしめていた。
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