連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第12章 《第12章》
 人は自分の世界のことしか頭にない。他人と会話している時は別だが、一旦家に帰れば、それぞれの生活があり、それが自分の全てになる。
 ましてや、世界中に様々な人種が暮らし生きていることなど、ほとんどの場合意識しない。外国で暮らしていたとか、ジャイカに所属して外国に行ったことがある人は別として。
 テレビの中で飢餓に苦しむ人々を見て、そうだこんな国があるのだと初めて考える。
 だが、今この時も世界中の時間は動いているのだ。同じように色々な所で、様々人が生きている。環境も、言葉も人種も違っていても、時間は同じように私たちの間を平等に流れているのだ。

 この頃になると、雅治も倖も、さっきまでの不安が、ムンカと話したことで少し軽くなっていた。
 しかし、ムンカは逆に混乱していた。マイらの話が真実だとしたら。いや、真実に決まっているのだが。だとしたらここに居る二人の心臓は、ユンカとパックスの物なのか。 ムンカはその事が聞きたかったが聞けずにいた。

 かなり複雑な経過があるのだろうが、今聞いたとしても、それが何になるというのだろうか。真実がどんなに残酷であったとしても、この二人はマイらに会いに来たのだから。        
 そして、マイラも二人に会いたがっているのだ。その真実に変わりはない。
 そうならば、今の自分の役目は、そんな三人を会わせてあげることなのだとムンカは思った。

 一人で何かブツブツ言い、一人で頷いて納得しているムンカの様子を見ていると、雅治と倖には、このムンカという女性が、本当に気持ちの優しい人なのだということが分かった。

 ムンカは、頑張り屋さんのマイラも、優しくてかわいいユンカも、人懐っこくて優しいパックスも大好きだった。二人が小さい頃からよく知っていた。二人の父親が事故で亡くなった時も、小さかったパックスとユンカは泣かなかった。泣けば大好きな母親が余計に悲しむに違いない。たぶん小さな二人はそう思っていたのだろう。

 その様子が余計に近所の人たちには痛々しく感じた。そんな三人がここから居なくなって、一番悲しんでいたのは自分なのかもしれないと、ムンカはこの時始めて感じた。

「もう少しでマイらの居る病院に着くから……」
 そう言われ、二人は待ち遠しいような、このままずっとN3ハイウエイが続いて欲しいような不思議な気持ちだった。
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