連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第12章 《第12章》
 五分も経たないうちに、ムンカが返って来た。ムンカはとにかくあわてていた。

「マイラの入院している病院は、ここから三〇分ほどN3ハイウエイを南に行った所にある病院なの。私も一緒に行くから。直ぐに用意をしてくるから待っていてね」
「いいんですか? 一緒に行ってもらって」
「あたりまえでしょう。私がマイラを強制措置入院なんかさせちゃったんだもの。それに、マイラの大切なあなたたちを、二人だけで行かせられるわけがないでしょう!」
「有難うございます」
 雅治と倖は心からありがたいと思った。

 三人は、ムンカの車でマイラの入院する病院へと向かった。

 雅治が、マイラの入院はいつだったのかと尋ねると、二週間ほど前だという。ちょうど雅治がパックスとユンカのお母さんの夢を見たころだ。あの夢は何を自分たちに教えているのだろうか。

 その答えは倖が知っていた。傷ついて檻に入れられた雌ライオンは、自分に一生懸命に近づいてきた二匹の子ライオンを、優しく舐めていた。
 まさにその雌ライオンがマイらで、二匹の子ライオンが雅治と倖だったのではないだろうか。食べられるかもしれないと恐れながらも、優しい温もりを求めて近づいてきた子ライオンを、優しく受け入れる雌ライオン。おそらくユンカは、自分の母親はそんな優しい人なのだと、不安に思う倖の心をいやしてくれたのではないのだろうか。

 倖はその夢の話を、雅治とムンカに一緒に病院に向かう車の中で話した。

 ムンカは『信じられないが、信じたい』そういって言って涙を流した。
「早くマイラを出してあげなければいけない。かわいそうなマイラ……」
 ムンカはそう言うと、ハラハラとまた涙を流した。

 三人はN3ハイウエイを逆に走っていた。ユンカやパックスは、この道を母親と一緒にどれほど走ったのだろうか。楽しい会話をしながら、きっと幸せな時間を過ごしていたのだろう。
 パックスは差別制度について、将来の夢を考えながら話していたに違いない。ユンカは、かわいい動物たちの事を毎日話していたのだろうか。そんな平和な世界が、きっとそこにあったに違いない。
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