連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
連立の命(れんりのいのち) 第12章 《第12章》
 二人はムンカと一緒に歩きながら、マイラの事を尋ねた。
 マイラはとても明るく前向きな人で、ご主人が事故で亡くなった後も、一人で一生懸命二人の子供を育てていたのだと。

 しかし、二人の子どもがいなくなり、神様を恨むようになった。近所の人の励ましも受け入れられず、どんどん孤立して行った。周囲との接触を避け、人と話が出来なくなってしまったのだ。

 そしてとうとう、変な事を言い出した。ユンカとパックスが夢の中で自分たちの行方を教えるのだと。最初は、軽い神経症かと思っていたが、段々話が大きくなり、この国がいけないのだと言いだした。どこかの国の組織が、ユンカとパックスを外国に売ったのだと。

 マイラは、政府に訴えに行くとい出した。なだめても、話をゆっくり聞いてあげても、マイラは落ち着かなくなってきた。とうとう鎮静剤を注射しなければならなくなり、精神病院に強制収容されてしまった。

 マイラが病院に連れて行かれる朝、こんな事を言って泣き喚いたと、その女性は教えてくれた。

『こどもたちは、どこかの国に連れて行かれ殺された。だが、単に殺されたわけではなくて、臓器を獲られ、移植された。パックスとユンカの心臓は、二人の人の中にあり、今も生き続けている。いつかその二人が私に会いに来る。だから私は、此処にいなければいけない。お願いだから連れて行かないで。その子たちに会わせて欲しい』

 ムンカはそう言い終わった後、二人をじっと見つめた。
 そして一時黙ったまま何かを考えていた。
 その後、何かに突き動かされるようにこう言った。

「大変だ。マイらは狂ってなどいなかった。貴方たちね、マイらが会いたがっていたの
は」
 二人は大きく頷いた。
 
 ムンカは一人で何かいい、一人で納得したように頷きながら雅治と倖を自分の家に招き入れ、美味しい紅茶をごちそうしてくれた。
 自分もきっと少し落ち着きたかったのだろう。そして、静かにこう言った。

「少し待っていて。主人にマイラの病院を聞いてくるから。一緒にマイラに会いに行きましょう」
 そう言って、ムンカは家を飛び出して行った。

 倖と雅治は、ぼろぼろ涙をこぼした。
 マイラが真実を知っていた。ユンカとパックスは、自分たちにメッセージを送ったと同じ方法で、母親にも夢のメッセージを送っていたのだ。

 
149
最初 前へ 146147148149150151152 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ