連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第12章 《第12章》
 二人が茫然とその場所に立ちつくしていると、一人の黒人女性が話しかけてきた。二人はたどたどしい英語でこの家は空き家になっているのかどうかを尋ねた。
 
 ムンカの話によると、そこはマイラという女性の家に間違いないということだった。
 二人は顔を見合わせた。自分たちの考えは間違っていなかった。しかし、不思議とそれが当たり前に思えていた。そして、ムンカは、さらに話を続けた。

 その家には、以前マイラと一緒にユンカとパックスという仲の良い姉弟が住んでいた。 しかし8年ほど前、子どもが二人ともいなくなってしまい、マイラはだんだん人と話をしなくなり、精神に異常をきたしたために病院に入院したとのことだった。

 倖は悲しかった。自分たちのために、一つの幸せな家族が崩壊してしまったのだ。分かっていたことだが、今更ながら現実に直面し、自分たちの親の、そして自分たち自身のエゴを感じた。

 移植とはいったい何なのだろう。もちろん自分たちが進んで、パックスやユンカの命を奪って生きようとしたわけではない。そこには色々な人のエゴや怖さ、こどもの幸せだけを考える偏った親の愛、複雑に絡まった気持ちがあったのだ。

 助かりたい。自分の人生を掴みたい。生きていると実感したいという自分自身の思いもあったのだ。

 それが、人の命の終わりを意味していたとしても、誰かが死ぬのを待っている自分や家族がいたとしても……。
 その時、果たしていかほどの人間が、ドナーの現実の生活を思い図れるというのだろうか。

 しかし現実には、そこにドナーの、そしてその家族の生活がある。その後のドナーや家族の人生を一変してしまうような出来事が、その時も、その後も起こっていることを、この時雅治と倖はまざまざと感じさせられたのだ。

 打ちひしがれた気持ちのまま立ち尽くす二人に、ムンカは只ならぬ事態を感じたのだろうか。マイラが入院している病院が分かるかも知れないと教えてくれた。
 
 二人は絶望の中から一筋の光が見えたように感じ、ムンカについて行くことにした。
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