連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第12章 《第12章》
 雅治は、この子たちから生活の臭いが感じられないのはどうしてだろうと思った。
 その子たちは見知らぬ外国人の二人を見つけると、じっと不思議そうな、そして何かを語りかけるような眼差しで見つめた。
 そして、三人とも顔を見合わせ、意を決したように二人の元へゴミの山から一直線に駆け下りて来た。
 一体どうなっているのだろう。二人は一瞬ひるんで後ずさりした。

 しかしその子たちは、哀願するような顔で近づいてきた。何か言っているが、英語ではないようだ。

 南アフリカは、いろんな言語が存在する。英語でだいたい通じるとのことであったが、オランダに占領されている時代に、オランダ語と現地の言語が融合し、アフリカーン語という独特の言語が出来上がっている。この子たちの使っている言葉がまさにアフリカーン呼ばれる言語なのだろうか。

 二人は何か一生懸命に訴える三人の子どもたちから、やっと空腹を感じ取ることが出来た。雅治と倖に警戒心を抱かない子どもたちに不思議さを感じつつ、雅治と倖は自分たちのバックの中に、昼食用のパンが入っていた事を思い出した。

 バックからパンを差し出すと、三人の子どもたちは満面の笑顔をたたえながら、二人に抱きついてきた。雅治と倖はびっくりしたが、これがこの子たち流のありがとうのサインなのだと思い、子どもたちを抱き締めた。

 子どもたちは、二人に手を振り、パンをしっかりと大切そうに握りしめて、再び彼らの遊び場であるゴミの山へと戻って行った。

 しばらく二人は、三人の方を茫然と見ていたが、ゆっくりしている場合ではない事に気づき、再び歩き出した。先に進むにつれて、二人はだんだん警戒心を強くしていった。
 道路にはゴミが散乱し、街路には様々な年齢の子どもたちや、目が異常にギラギラしたやせ細った大人たちが座り込んでいた。もしかしたら襲われるかもしれない。二人は、自分たちの不用心さを、今更ながらに後悔した。

 しかし、不思議な事に路上の彼らは二人を暖かい眼差しで見ているように感じた。
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