連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
連立の命(れんりのいのち) 第12章 《第12章》
 倖と雅治は南アフリカの空港に到着した。そこからタクシーでヨハネスバーグまで行く予定でいた。

 二人がヨハネスバーグに向かう事にしたのは、美佳が夢の中で見たマイラの向かっていた街がヨハネスバーグだったからだ。考えてみると、自分たちはかなり無謀な賭けをしているのではないかということに気付いた。

 実際夢を頼りに捜索しようとしているのだから、他の人からすれば理解できないことだろう。しかし二人には不思議な確信があった。何となく自然にパックスやユンカが母親のところに導いてくれそうな気がしていたのだ。

 今タクシーは、N3ハイウエイをヨハネスバーグへ向かって走っていた。
 何故だか雅治も倖も初めて来たような気がしなかった。懐かしいような、少し寂しいような不思議な気持ちがしていた。
 そして雅治は、はっとした。タクシーのフロントガラスの向こうに、見覚えのある光景が飛び込んできたのだ。山の上にあるビル群。一見その様子が、山の上にあるニューヨークのようなイメージを与える。

(ここだ。ここに違いない……)

 パックスが夢で雅治に送り続けてくれたメッセージは、単なる夢ではなくパックスの『心』だったことを、雅治はこの時改めて感じた。

(パックス、僕はやっとここまで来たよ。あれから八年もたってしまった。ごめんよ。約束がこんなに遅くなってしまって。お母さんは、元気でいてくれるのだろうか……)

 隣を見ると、倖が寝息を立てて眠っていた。長時間の飛行機の旅に、きっと疲れたのだろう。
 雅治は考えていた。あの山の頂上に着いたら、きっと分かる。あのビル群を真直ぐに抜けたら、トタン屋根の街が現れるはずだ。そこを見つければ、雅治にはパックスの家が見つけられる。そう確信していた。

「Thanks You」
 雅治と倖は、運転手に料金とチップを渡してタクシーを降りた。
 雅治は、躊躇せずに真直ぐ歩いた。まるで何かに誘導されているかのように歩きはじめた。倖はそんな雅治にびっくりして声をかけた。

「雅治君。何処へ向かっているの?」
 雅治は前を向いて歩きながら答えた。

「分からないけど、こっちだと思う。」
 倖は、とにかく黙って雅治に付いて行くことにした。
144
最初 前へ 141142143144145146147 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ