連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第11章 《第11章》
「雅治くんどうしたの?」
「うん。突然なんだけど、倖姉さんと一緒に南アフリカに行くことになったんだ」
「どういうこと?」
 悠一は、キーボードを打つ手を休めて聞いた。

「本当に久しぶりにパックスの夢を見たんだ。ユンカと、パックスと、パックスのお母さんが夢に出てきたんだ。最近ずっと夢を見ていなかったから、もしかしたらパックスのお母さんに何かあったのかもしれないと思って倖姉さんに話したら、行きたいって言うんだ。だから、悠一君がもし時間があれば、一緒に行かないだろうかということになって連絡したんだけど」

「そうか……僕も行きたいな。でも僕はやっぱり無理そうだ。研修医になったばかりだから、指導医の先生が許してくれそうにないんだ。とっても厳しい先生だから。それに、受持ちの患者さんも状態が良くないから目が離せなくて」
「分かった。今回は、倖姉さんと二人で行ってくるよ。悠一君が一人前の医者になって余裕が出来たら、三人で行こう」
「ごめん……」
 悠一はさびしそうにそう言った。

 雅治は残念に思いながらも、旅行の段取りにとりかからねばならなかった。とりあえず倖に連絡し、悠一が今回一緒に行けないことを告げ、旅行会社に二人分の旅券を依頼した。
大学院からは、この時期に大変な事を覚悟した上なら仕方ないと言われ、10日間の程を組むことが出来た。

 倖は係長の西田に依頼し、何とか10日間の休暇を貰う事が出来た。倖はこの5年間、悩みながらも移植コーディネーターとしての立場を確実に築いてきた。その成果が今、問われようとしていることを、この時倖はまだ知らなかった。

 係長の西和田は、いつそれを倖に告げるべきかを思案していた。この病院には、倖の存在は欠かせないものがあったが、国からの要請にこたえることもまた倖の未来や、移植をする人々にとって欠かせないものだと考えていた。

 倖は今、国家移植倫理検討チームへの移籍を国から病院に向けて要請されていたのだ。
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