連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
連立の命(れんりのいのち) 第11章 《第11章》
 2018年。雅治は法科大学院を卒業し、同じく悠一は医科大学を卒業して研修医になっていた。倖は移植コーディネーターの道にもどり、自分の経験を生かして、心理カウンセラーの資格も取り、毎日忙しく走り回っていた。

 雅治は8年間、パックスの夢を一度も見なくなっていた。自分が法律家の道に進もうと考えて以来、夢を見なくなった気がする。
 しかし、雅治は忘れたわけでは決してなかった。
 いや、逆に、パックスと毎日を共にしていたと言った方がいいかもしれない。毎日布団に入り、眠る前には左胸に手を当て、パックスにお礼を言うことにしていた。

「今日も一日ありがとう。僕は君のおかげで、一日をしっかり生きられたよ。明日も頑張るから、君も僕を通して、しっかり生きてほしい……パックスありがとう……」

 この8年間、雅治は一日も欠かさずこの儀式を行っていたのだ。きっとその気持ちはパックスに伝わっていたのだろう。この8年間、一度も心臓はトラブルを起こさずに雅治の中で動き続けていた。

 それなのに今日は、8年ぶりにパックスの夢を見た。パックスがユンカと母親と一緒にサファリパークに行っている夢だった。少し前に生まれたライオンの赤ちゃんに、ミルクを与えるために、三人はそこに居た。
 ライオンの母親は、何故か二匹のこどもに育児放棄をしてしまった。きっと、サファリの中で、獲物を獲らなくても生きていけることを悟り、野生の本能が薄れてしまったのではないかというのが専門家の意見だった。

 いやにリアルな夢に、雅治は混乱していた。パックスは、何を僕に伝えたいのだろう。 今まで、何かのメッセージを必ず夢で送っていてくれたから。

 もしかして、パックスとユンカのお母さんに何か異変でもあったのではないだろうか…
 雅治は何となく嫌な予感がしていた。

 久しぶりに倖に連絡してみることにした。
135
最初 前へ 132133134135136137138 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ