連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第10章 《第10章》
 三か月後、その日の朝刊は、その記事で埋め尽くされていた。

『移植チーム法案成立』『新庄健太議員の信念の勝利』『身障者に活躍の場を』

 マスコミは、やはり好きな事を書いた。
 しかし、どの記事も新庄にとって悪い見出しのものは一つもなかった。

 新庄は自分の人生をかけて闘ったのだ。
 そして、自分にその勇気と信念を与えてくれたのは、自分が命を絶ってしまった志保であり、その弟の悠一であった事を新庄は改めて感じた。

 新庄は、移植チームを、その職種の資格を持つ身障者で結成することにした。
 新庄にとって、いや、ドナーや移植を受ける者にとって、移植チーム自体が移植を受ける人や、その家族の気持ちを心から理解できる人でなければならない。

 当初、移植を体験した者に限定しようと考えたのだが、それは無理であった。新庄の心の中には、将来雅治や倖、そして悠一の夢が大きく反映されていた。この法案が可決されたことで、身障者の国家的活躍の場や、将来に向かう夢を少しでも現実に近づけることが出来た。

 新庄が当初懸念していたのは、移植チームに出願する人が、果たして何人いるのかという事であった。しかしそれは、無用の心配であった。

 新庄が考えるより、身体に障害を持ちながらも、医師や弁護士、移植コーディネーター、カウンセラーの資格を持つ人は、多かった。

 そして、沢山の応募があった。新庄は毎日面接に忙しく走り回った。日本全国から応募があったため、東京まで来てもらうには身体的な負担と仕事上の制約を考え、新庄自身が面接に出かけて行ったのだ。
 一人一人の考え方や希望、その人の人となりをじっくり面接で理解しようとした。

 そして移植法の改正から丁度一年後、「移植倫理国家検討チーム」が結成された。

 新庄はまず、四職種六人で結成されたチームを三チーム結成した。基本的に立花が恣意を加えた心・肝・腎に関する移植にのみこのチームを派遣することにした。
 そのほかの網膜や骨髄などの移植に関しては、今まで通り各病院の移植倫理委員会に委ねることにした。

 二〇一八年、脳死が人の死とされて九年目に、新しい移植法が制定され、移植倫理国家検討チームは起動し始めた。
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