連立の命(れんりのいのち)
連立の命(れんりのいのち)
完結
発行者:桃子(とうこ)
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ジャンル:ミステリー・推理

公開開始日:2014/11/08
最終更新日:---

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連立の命(れんりのいのち) 第9章 [《第9章》 
 雅治と倖は義姉弟である事が判明し、義姉弟そろって不法な移植を受けたことが明らか
になった。しかし、何も知らなかった倖と雅治は、マスコミの手から辛うじて逃れる事が出来た。新庄がマスコミを抑えたのである。
 しかし、いくらマスコミから逃れたと言っても、彼らの衝撃は大きく、外へ出ることすらできなくなっていた。

 雅治は、夢の件以来、薄々違法な手段で移植を受けたのではないかと感じていたため、倖の衝撃に比べれば、少しは正常な判断力を維持することができた。
 
 倖は、コーディネーターの仕事でのストレスと、事件のショックから食事もとれず、人に会う事も出来なくなり、とうとう入院してしまった。

 悠一はと言えば、すでに亡くなってしまった姉が、不法な臓器移植に加担していた事を知り、やはりショックで大学へ行けなくなっていた。自分の夢も、暗闇に中に消えてしまったかのように思えた。

 憔悴しきった悠一と雅治は、それでも倖を見舞うために、久しぶりに会うことにした。
 倖の入院している病院の近くの、ひっそりとした喫茶店で二人は再会した。

「雅治くん……何と言っていいのか……」
 悠一は、しばらく見ない間に痩せて、憔悴した雅治に驚いた。
「悠一君は、大丈夫?」
「僕は大丈夫……とはいえ、大学へはしばらく行っていないけど」
「僕も同じだよ。活字が頭に入ってこないんだ。自分が何のために勉強しているのか分からなくなってしまったんだ」
「どうしてこんな事になってしまったのだろう……」
 二人はそれから先言葉に詰まってしまった。何も言えず、目の前のジュースを飲んだ。

「倖ちゃんはどうしているかなぁ。入院してからはメールをしても返事が来ないんだ」
 やっと悠一が、重たい口を開いた。
「義姉さんは、食事が入らなくなって、痩せてしまったって涼子おばさんが言ってた」
「心配だなあ。お見舞い何がいいだろう。本は読む気がしないだろうし。雅治君のお母さんは、帰って来られた?」
「……帰って来たよ。母さんは、僕に申し訳ないと、毎日毎日泣くんだ。僕はその事の方
が辛い……」

 雅治は、ジュースの氷を訳もなくかき混ぜながら話を続けた。
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