彼女とコンビニエロ本とおっぱい
第6章 両手に花・修羅場
すると急に、態度が硬くなる。健の服をもう一度引っ張り、女店員から離れた所で罵る。
「どこで何をしてるのかと思えば、まったく……」
冷ややかで蔑んだ目。
「ち、違う……俺、あの人のおっぱいを見入ったりしてないぞ」
健は自爆した。
なつこが怒り出す。約束を破ったあげく、万引きかと心配すれば違っていて、大人女性の、自分よりもずっと豊満なバストに見入ってデレデレ。これでニコニコできる女子がいるはずもない。
「最低……心配したのに、ウソつきで浮気者!」
浮気者という言葉がのしかかる、健が奈落に落ちていく。
なつこに嫌われたら、青春が真っ暗になるじゃないか。
それを見ていた佐藤由利。この2人が可愛いと胸がくすぐられたらしい。タバコを吸いながら、追い込まれている健に言った。
「偶然だから流してあげる、君がおっぱいに当ったのは偶然だものね」
その悪辣な言葉が聞こえたら、顔を真っ赤にして怒ったなつこが歩き出し、健が慌てて後を追いかけ、由利は笑いながら店に戻るのだった。青春っていいわねぇとかつぶやいたようだ。
11