カミさんと私
第17章 少しの望み
治療の始まる前の診察で担当医から、
「嬉しいお知らせが有ります。」と血液検査の結果を見せられました。
そこには腫瘍マーカーの数値が記入されていました。
最初の数値は3000、これが基準値の100倍で、
その後1700くらいに下がったのも承知していました。
それが700になったとの事。
だからといって癌が小さくなった訳ではない事も承知。
元々、この数値に、「一喜一憂しないで下さい」と言ったのも先方。
それが嬉しい知らせなのかと首を捻ってしまいました。
ある意味では進行が止まっていると解釈をしても良いのでしょうが、
小さくなったのでは無いのでは意味が無い。
医師に言わせれば、「進行が早い膵臓癌なのに」と言う事のようです。
折角、担当医が良いお知らせと言ってくれたのなら、
素直に喜ぶべきなのでしょうが、私もカミさんも冷めていました。
カミさんは食事療法も始めて、色々と料理に挑戦しています。
むしろ、それが効いて体調が良いのではと思います。ޥ
終着点が見えてしまっている現実では有りますが、
逆に、そこまではたどり着けない事を祈るばかりの毎日。
二人の誕生日も過ぎたので、これからは結婚記念日を目標です。
その頃には桜も満開でしょうから、
以前、見損なった吉野の花を見に行きたいものです。
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