小説「新・ヒトツノヒ」完全版 第一部 「沙羅と純の革命闘争編」
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発行者:銀河の薔薇
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ジャンル:恋愛
シリーズ:小説「新・ヒトツノヒ」完全版

公開開始日:2014/06/04
最終更新日:---

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小説「新・ヒトツノヒ」完全版 第一部 「沙羅と純の革命闘争編」 第4章 第3章 「マルメロ音楽教室」
1983年7月15日 金曜日

もう大学から30分も歩いただろうか・・・。

夕方になり、寒くなってきた。中村は沙羅と共に、大学からひたすら遠い閑静な住宅地へと向かっていった・・・。

この通りの町名の青いプレートは「夕陽ヶ丘1丁目」になっている事を中村は初めて知った。

川沿いの道を近道して、バス停のあるまともな道に出た。中村はこの道は、H大学の男子寮の「北明寮」に向かう道である事に気がついた。見ると、バス代をケチりたい学生たちが数人、寮に向かってとぼとぼ歩いている。3,4年にもなると、大概の寮生はバイト代でバイクを買い、そのうちにツーリングに行き、東北の最果てA県ならではの唯一のとりえの自然を満喫する。

沙羅は、「ひのもと食堂」といううらぶれた食堂を左に曲がった。すると、左右に立派な新興住宅が広がっていた。どうやら、この「夕陽ヶ丘」という町内は、国立H大学の教授層など富裕者層が住む高級住宅街であるらしい。

もう1時間近く長い距離を歩き、二人はもう会話が途切れかけていた。どの家も立派な門を構え、あちこちには番犬の鳴き声がする。

ある家の表札は、中村も知っているH大学教養部、体育科の大野教授の名前があった。住宅の立ち並ぶ道の先は、見晴らしの良いちょっとした丘につき当たっていた。

(こういう丘に住む身分の人たちは、丘から下の町を上から見下すのが好きなんだろうな?)中村はそう思った。
(しかし、なんだって、こんな所にあんな組織のアジトがあるんだ!!)

「ここよ」
 沙羅が久しぶりに声を出した。

一見、下宿風で、2階は十部屋ありそうな白い建物。
「マルメロ音楽教室 初心者大歓迎! TEL 0172―96―5913」
高級住宅には似合いそうもない、みすぼらしい白い看板があった。
1階は音楽教室ホールになっているらしく、防音の窓越しにピアノの音色がかすかに聴こえていた。
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