小説「新・ヒトツノヒ」完全版 第一部 「沙羅と純の革命闘争編」
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発行者:銀河の薔薇
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ジャンル:恋愛
シリーズ:小説「新・ヒトツノヒ」完全版

公開開始日:2014/06/04
最終更新日:---

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小説「新・ヒトツノヒ」完全版 第一部 「沙羅と純の革命闘争編」 第2章 第1章 喫茶「JOY」
1983年6月15日 水曜日

中村純は今日も講義をサボって、正門向かいの喫茶店「JOY」でコーヒーを啜っていた。上質のサイフォンが醸し出す挽き豆の香味が、店内に優雅に広まっていた。
純は何をするまでもなく、朝刊に目を走らせている。
大学に入って数ヶ月たち、怠惰な生活に染まった純は無精ひげの顔であった。
カウンターのママも、毎日のように店に来る純には距離感を感じ、最近では彼にすっかり話しかけなくなった。ママは、卒論準備に追われる4年生の常連と楽しそうに話している。
大学にも友人ができない純は、どこに行っても一人だった。

中村は昭和39年10月9日に京都で出生。父は、「株式会社健和」という、うさんくさい健康飲料の会社を経営する実業家。その実業家の息子は、何一つ不自由なく育った。
高校は京都の有数進学校であり、何も好き好んで青森の大学を受けなくても、そこそこの一流大学に行ける学力は合ったし、家庭にもその経済力はあった。
中村は、つとめて明るくふるまおうとするが、暗い性格であった。高校でも友人に恵まない中村は考えた。(誰も知らない所に行って、自分を明るく変えたい・・・)
彼はそう願って、あえて本州の最果ての地を選んだのだった。

放任主義の父は特に反対しなかった。これも、彼の人生勉強であり、彼が卒業して、教職に就くか、会社を継いでくれればいいという考えであったからだ。
しかし、大学に入ったものの、学問にも興味を失い、友人のできない中村には、毎日が苦痛そのものであった。
 
「久しぶりに京都にでも帰ろうか?」
ふと、中村はそう思い、店内の公衆電話に向かおうと席から立ち上がろうとしたその時である・・・。
(昭和58年の設定なので携帯電話はまだない)


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