小説「新・ヒトツノヒ」完全版 第一部 「沙羅と純の革命闘争編」
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発行者:銀河の薔薇
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ジャンル:恋愛
シリーズ:小説「新・ヒトツノヒ」完全版

公開開始日:2014/06/04
最終更新日:---

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小説「新・ヒトツノヒ」完全版 第一部 「沙羅と純の革命闘争編」 第4章 第3章 「マルメロ音楽教室」
中村は玄関近くの薄暗い部屋に通された。

そこは、台所があり、テーブルがあり、彼らが食事をしている部屋であった。壁には、毛沢東や金日成の肖像画や共産主義的スローガンが張られていた。
書棚には見慣れない彼らの機関誌「解放前線」「HAKAI」や、毛沢東選集など革命やゲバルトに関する本がたくさん並んでいた。

部屋には、沙羅と佐々木と岩見に、あとは沙羅と同じクラスの化粧気のないメガネをかけた地味な女性が2名いた。古沢海子と花岡和子であった。二人は双子のように似ていた。メガネをかけ、パーマをかけない、ショートの髪、線の入った汚いジャージをはいていて決して着飾らない点までも一緒であった。

夏休みに入ったというのに、彼らは何かの活動でもしているのであろうか? 帰省もしないで、ここの下宿に10人前後が固まっているようであった。中村は、部屋に「8・15東京集会」のポスターが貼られているのを見た。

彼らはこの集会の為にお盆も帰省しないのであろう、中村はそう悟った。


緊張した面持ちで座っている中村の前に、沙羅がコーヒーカップを置いた。

牛乳をいれたインスタントコーヒーであった。沙羅は同じものを皆に配っていた。どうやら、ここの連中は牛乳入りコーヒーを飲むのが習慣のようだ。

中村は、彼らの主義主張に完全に共感しているわけではなかった。
むしろ、なぜ彼らは代々木党に反対するのか? なぜ虐殺者ポルポト支援のカンボジアを彼らはそこまでして支援するのか?

数々の納得できない点があり、中村なりの論理で彼らを打破する事が、今日、ここに来た目的でもあった。

しかし、実際に狭い部屋で数名に囲まれている今、彼はビビリかけていた。
しかも、ここは喫茶店ではない。
彼らのアジトの中である。それも、大学からかなり離れている。
(下手に何か言ったら、自分の身が危ないのではないか? トイレに行くふりをして逃げ
た方が賢明ではないのか?いや、もし、トイレには窓がなかったら・・・・。)

中村は自分を落ち着かせる意味でも、カップの薄茶色のコーヒーを一口啜った。
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