シュウジ
第1章 1
「大丈夫!何もしないから!」
たった一言、そう言うだけで、女は簡単に助手席に座った。
今時の女子高生って奴は、彼氏彼女が居ないとダサイらしく、
この手の女は、改造車で声をかければ、簡単に釣れる。
「君名前は?俺はシュウジ」
「アミ」
ちょっとカッコつけたようなリアクションを取るこの女は、
プライドが高いらしく、メンドクサイタイプだ。
だが、このタイプの女は、1度惚れ込むとドップリはまる・・・。
片手でハンドルを掴みつつ、片手で煙草を取り出すと、それを口に咥える。
横目でミラーを見ると、煙草を凝視する女。
あぁ、こういう奴って、煙草=カッコイイだったっけ?
「吸う?」
煙草の箱を女の前にかざすと、
「ううん、今禁煙中」
と、未成年の癖に、強がったようなセリフを吐く。
後一押し。
目の前は赤信号・・・・丁度いい。
アクセルを思いっきり踏み込む。
「ねぇ、赤だって!」
女は驚いた様子で、こちらを見た。
「あ?別に関係なくね?俺の車にぶつかって来たら、
チームで潰しにかかるし」
そう言うと、
「チーム?何のチーム?」
女はあっという間に食いついてくる。
目の前を通過する歩行者にクラクションを鳴らし、
「邪魔なんだよ、クズ、死ねって」
と叫び、女を見ると、
「あははは。早くよけろよ!」
と、女も一緒に罵声を吐く。
この手の女。
取り込むなんて簡単だ。
帰り際、
「俺達付き合っちゃう?」
と言うと、アッサリ女は
「うん」
と、答えた。
鴨獲得。
作戦成功。
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