花屋の立ち退きを阻止して下さい
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発行者:海原 灯
価格:章別決済
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:メトセラの仲間たち

公開開始日:2014/04/18
最終更新日:---

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花屋の立ち退きを阻止して下さい 第1章 来訪者
 短い茶髪を、クシャッと右手でかくと、騎士は溜め息をついた。
「あの子のことがなければ、お前は今でも、城に残ってたはずだ」
 そうだろ!? と、アルファロを見上げる彼の瞳は、元の、戦場を駈ける騎士の名に相応しい男の、鋭い輝きを取り戻していた。この騎士は、どうやら、アルファロの同僚だったようだ。
「裏切ったのはお前だぞ。1回くらい、こちらに加勢しろ」
 自分たちの元から去った彼を、非難しに来たのか…、また一緒に仕事しようと、呼び戻しに来たのか。
 アルファロは、厳しい表情を崩していなかった。
「裏切るもなにも、オレは、ちゃんと正規の手順を踏んで、騎士の称号を城主に返上している。それが、抜ける時のならわしだ。一度誓いを立てたからって、生涯束縛を受ける筋合いはない。それが、あそこの規則だったろう」
 最初から、辞める道がないのであれば、まだしも…と、アルファロは嘆息した。受けるも受けないも、オレの裁量だ、と。
「お前の依頼は、受けることはできない。それが答えだ」
 堅くななアルファロの返答に、騎士は落胆し、その表情を暗くさせた。
 彼らの詳細は、きちんと聞こえた訳ではなかったけれど、ドア越しに聞き耳を立てていたセリエルは、頭がこんがらがってきて、訳が解らないといった感じで、足をモジモジさせた。
────────── さ、寒いっ。
 雪が降り積もる地域だのに、暖炉のない石畳の地下道で、半ズボンなのだから、そりゃ寒イボもできる。
「クシュンッ」
 こらえても、どうしても出てきてしまったクシャミに、セリエルは首をひっこめた。
ガチャッ。
 案の定、ドアを開けて顔を覗かせたアルファロに、小さく睨まれる。
「まだ居たのか、ったく…。もういいから」
 さっさと部屋に戻れ、とあしらわれてしまい、戸惑いつつも、その場から去るしかなくなった。
────────── なんだろう、なんの依頼だったんだろう!?
 依頼を断ったアルファロの、いつも以上にくぐもった低い声に、セリエルは眉をひそめた。
 立て込んだ話のようなのは、解った。で、依頼者が生前騎士だったのだろうということも。
 騎士の方は、大丈夫だろう。悪い人には感じなかった。でも、アルファロの表情が気色ばんでいたのが、少々気がかりだ。
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