壱の魔術
第1章 第1章 プロローグ
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そして、体育館に移動し、そこで入学式を行った。入学式では校長の睡魔精霊(すいませいれい)を召喚させる呪文_(じゅもん)の棒読(ぼうよ)みが皆を襲い、大半が起きているふりをして寝ていた。シンはというと、相変わらず、笑ってはいなかったが目をぱっちりと開けていた。俺の視線に気がつくと、軽くニヤケ顔になりすぐに元の表情に戻し前を向き直っていた。
シンほど、女性共にモテそうな顔つきはそうそういないだろう。中学生のときだってラブレターをもらうのを時たま目撃しているし、バレンタインデーなんてチョコレートという名の悪魔の毒菓子(ポイズン)を20個ちょっと貰っている。正直言って悔しい。
俺も、シンほどではないが顔は整っていて、運動も勉強もある程度できる。ただ、愛想がない…と…よく言われる。
そんな俺を超えたシンだからこそ俺は冷たい態度をとるのだが……。シンはそれをあまり気にしていないようだ。そして、俺を友人として見ている。……ふはは、その地点で俺はシン、お前に負けたぜ。
まあ、少々話が脱線(だっせん)してきたから戻す。校長の呪文は意外と長引(ながび)いて、俺まで眠くなってきてしまっていた。そして……だ、ダメダ俺!!寝るな俺!!負けるな俺!!
しかし、現実ってのはそう甘くはない。目の上のまぶたとしたのまぶたが今にもできちゃった結婚をしそうなくらいにくっついてしまい、離れようとしない。そう、俺はうたた寝だったが寝てしまったのだ。
それに気がついたのは、シンに起こされた時だった。その時はもうすでに入学式がなぜか終わっていて皆が帰るところだった。誰も(シン以外で)注意してくれなかったのかとなるとなんだか悲しくなる。まあいいさ。
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