壱の魔術
第4章 第1章 梅雨前線停滞中-3
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1年4組まで行くために、俺は廊下(ろうか)を走っているか歩いているか分からない、いわゆる早歩きというやつをしていた。そして、あっという間に1年4組、俺の教室直前までつくとなぜか声が聞こえてくる。それもどこかで聞いたことがある声なんだが。
「あんたが――だった―――ね!早く―――の世界に戻りなさい!」
「なん――こと―――?」
なんて言っているかよく聞こえなかったので、もう少し耳を澄ましてみる。
「あなたは、誰の許可を取らないでこの世界に来ていいと思ってんの?この世界にはまだ魔術(まじゅつ)も発展(はってん)していない幼い世界(ヤングワールド)なのに」
間違(まちが)いない。この声は、マイの声だ。ただ、魔術(まじゅつ)だのこの世界に来ていいのかだの訳の分らんことばかり言っているがな。今日は訳の分らんことが多い。それの原因はおそらくこいつだと思う。なぜだか?簡単なことだ。いつも訳の分らんことの中心にいるのは、マイだったからな。
そして、今も。
「…だからなの。分かりませんか?だからこそ、この世界を変えなくてはいけないってことぐらい分からない?」
なんだなんだ。この世界を変える……だと?俺は僅(わず)かに、緊張(きんちょう)を高めた。
その後、マイの声が聞こえなかった。
「あら?反論(はんろん)できないんですね。それじゃあ私は」
「待ちなさい」
「今度は何?」
「ここで私はあなたを捕まえる。もし捕まえられなくたとしても、上からその場合はあなたを殺してもいいって許可を得ているんだから!」
「あなたが私を殺す?面白(おもしろ)いこと言うんですね」
……おいおいこれは、本当(マジ)でやばいんじゃないか。俺はどうする。どうしたい?
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