壱の魔術
壱の魔術

発行者:川犬
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/08/07
最終更新日:2010/08/11 23:38

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壱の魔術 第3章 第1章 梅雨前線停滞中-2

「何でそうなんのって言われてもだな。そりゃあ、この教科書はひとつしかないんだから、仕方が無いじゃないか」

「そ、そんなの関係ない!と、とにかく私に貸しなさいっ」

「……あのなあ。俺だって教科書を使うんだからそんなことするわけ無いだろ。俺の隣に机をただ移動すればいいだけの話じゃないか」

「いやよ!め、面倒くさい」「はあ?」「だから、机を動かすのが面倒くさいのよ!」

 授業中にもかかわらず、俺とマイは口論(こうろん)を続けている。俺の前の席にいるシンは苦笑(くしょう)しながら俺たちのことを見守っていた。いや、シンだけではない。周り(このクラス教師含めて全員)が、俺とマイのことを見守っている。

 このクラスの英語担当の吉空功矢(よしぞらこうや)までもが青春(せいしゅん)だなあと、小さな声でつぶやいている始末だ。

 そんなことには俺たちは目にも耳にも鼻にも口にもくれず、口論(こうろん)を続ける。

「机を動かすのが面倒なのか!?なら、俺がお前のところに―――」

「こ、来ないでっ!」

 ……えー。と困惑するしかない。

「それじゃあどうすればいいんだ?」

「ぐ…………」

 マイはそのまま俯(うつむ)きながら黙(だま)り込んでしまった。こいつは、黙り込んでいる様子を絵にすれば結構良いんだが、奴(マイ)は常に活動しているのでそういう訳にもいかない。

 そこへ、隣からさっきのやさしそうな女子が声をかけてきた。俺たちとはまったく無関係の人間が話しかけてくるなんぞ予想外だ。

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