壱の魔術
壱の魔術

発行者:川犬
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/08/07
最終更新日:2010/08/11 23:38

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壱の魔術 第3章 第1章 梅雨前線停滞中-2
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 俺の席の後ろには、マイが相変(あいかわ)わらず不機嫌そうに座っていたが、俺が来た途端に溜息(ためいき)を吐いてきやがった。そんなことに何度も毎回のように声をかけるのも疲れるので、今回は何も言わないまま、自分の席に座った。

 すると、後ろから「む……」と声が聞こえてくる。話しかけてほしかったのだろうか。だが、マイさんよ。もう後ろを振り向くことはできないぜい?何せ授業開始、3秒前だからな。3秒で話し合えることとは何か。こっちが聞きたい。誰か知っている者、名乗り出てきて教えてくれ。名乗り出てきた者には、豪華(ごうか)プレゼントが、ある訳がーーーーーー無い。

キーンコーンカーンコーン…

 ああ、鳴った鳴った。残念だったな。マイさんよ。と、思考(しこう)していると不意(ふい)に肩をグラグラと揺さぶられた。あまりに突然だったので、俺は持っていたシャープペンシルを床に落としてしまい、そのシャープペンシルが遠く彼方(かなた)の方へ俺から逃げるように転がっていってしまった。俺のシャーペン、待ってくれ。

 それで仕方なく、後ろへ振り向いたところ、マイが不機嫌そうな顔でこちらを大蛇(オロチ)の目で睨んでいる。意外と迫力(はくりょく)は無かったが、とりあえずこれ以上不機嫌になってしまっても、面倒になるだけなので、少しだけ驚く。フリをする。

「な、なんだ?」

「教科書貸して」

「はあ?なぜ俺なんだ。あ、そうかお前はまだ友達が―――」

「あ、貸してくれるのね。じゃあ早く」

 俺の言葉を最後まで聞かずにマイは、俺から教科書を奪(うば)ってこようとする。俺はそれを必死に阻止(そし)しながら、シャープペンシルが隣の人が拾ってくれたようで、俺に向かって手渡してくる。俺もそれに応じようとするが、マイに阻害(そがい)されてしまい、受け取れなかった。

「分かった。分かったから、とりあえず机を俺の横に移動しろ」

 そこで、おもちゃの電動型(でんどうがた)ロボットが電池切れで動かなくなるようにぴたっとマイの動きが止まった。そのうちに、俺はシャープペンシルを隣のいかにも優しそうな、マイとは大違いな女の子から受け取った。一安心(ひとあんしん)だな。

 というわけにもいかなかった。マイは僅(わず)かに顔を赤らめながら、

「な、な、な、なんでそうなんのよ!?」

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