桜花飛翔
第1章 芽生える桜―wakes up―
「誘ってるのか? なら、遠慮無く襲うが」
伊那の顎を人差し指で上にあげ唇を親指でなぞる。目を見開き何か言いたそうにする伊那ににっこりと微笑む。
愛おしい物を見るような優しい目に鼓動が高鳴り顔を真っ赤に染める。
「さ、誘ってません!」
それが今出せる精一杯の声だ。どこを見たら良いか分からず視線を泳がせる。が、榊しか視線に入らないほど榊の顔が近付く。榊の目に写る自分の姿が余計に恥ずかしくさせる。
「それが、その恥ずかしがってる姿や視線が誘ってるって事なんだよ。悪いが、俺はそんなに我慢強く……」
逃がなさいとでも言うかの様に両手首を右手、顎を左手で掴む。
「無い」
噛み付くような荒々しさで唇を塞がれる。驚きで目を見開くが、息苦しくなり固く目を瞑った。息をしようと唇を開く。しかし、それを待っていたのか舌がすぐさまねじ込まれる。
「ふ……あっ……」
角度を変えて口付けられる僅かな時間に酸素を取り込む。段々と力が抜け榊に体を預けていく。手首が解放され腰を強く引き寄せられる。左手は伊那の頭へ回された。唇がゆっくりと離れ透明な糸が二人を結んだ。
榊はそれを舐めとると伊那を優しく抱き締めた。
「あ、あの……ひゃあっ!」
声をかけようとした瞬間、服の上から胸を乱暴に揉まれた。服の中へ手が滑り込みブラのホックを片手で外される。服を捲られ乳首を吸われ体が跳ねた。
「あっ、だめぇ! 吸っちゃだめなのぉ!」
抵抗する力など伊那には残されていない。乳首の周りを舌で舐め回され、自然と声が漏れる。
「ひっ! やぁっ……もう、だめぇ……」
榊は咄嗟に唇を離したが遅かった。
体が無意識に跳ね榊の方へ倒れる。息が上がり力は全く無い。触っただけで体が跳ねる。
「お前、まさか……マジか?」
懸命に頷く。それしか出来ない。
「……悪い。イかせるつもりは無かった。というか、アレだけでイクとは思わなかった」
ゆっくり榊を見上げると、額に優しく唇を落とされる。伊那の代わりにブラを付け服を直す。呼吸が正されるまで優しく頭を撫で抱き締める。
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