桜花飛翔
桜花飛翔
成人向
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/08/12
最終更新日:2010/11/10 12:18

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桜花飛翔 第1章 芽生える桜―wakes up―
 凄まじいクラクションが空に響く。鳴り止まない。信号は青なのに車は一向に進まない。気の短い運転手から発せられる怒号が増えるのと比例してクラクションも増えていく。信号が赤になり別方向の信号が青になろうと、怒号やクラクションが止むことは無い。それどころか逆に増える一方だ。田舎町の交差点なのに車の量が多いのは連休中だからだろう。
 煩さに眉を歪め眉間に皺を寄せながら目を開き、自分の状態に唖然とした。少女は交差点の中央で一人佇んでいた。クラクションと怒号の原因は少女にあったのだ。
 少女にぶつかる寸前で車が大量に止まっている。
 少女はわけがわからず急いでその場から離れる。
 クラクションが止み、信号通りに車が進み出す。空き缶や空のペットボトルが少女に向かって投げられる。いくつかが少女に当たり小さな悲鳴が漏れた。
 怖くなってその場に崩れるように座り頭を抱える。どうしてあんな所にいたのか思い出せない。必死で思い出そうとしても、恐怖で思考が空回る。その中でふと、ある事に気付き周りを見渡す。ここが何処かも分からないのだ。思い出せる事が何一つとしてない。それがさらなる恐怖となり声にらない叫び声を上げる。
 叫び声が消えるとほぼ同時に雨が降り出した。それはすぐにバケツをひっくり返したように勢いを増す。クラクションと怒号の騒がしさが雨の音へと姿を変えた。
 鉛色の空を見上げ少女は動かなくなった。全身ずぶ濡れになり服の感触が気持ち悪い。それでも動こうとしないのは、頭がスッキリするような気がしたからだ。ごちゃごちゃになってしまった頭を冷やしたいのだろう。
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